クラフトビールなんて毎日飲むもんじゃない。
まぁ飲んでもいいというか、我々も飲んでんすけど。
飲んでんだけど、なんか違うというか。
クラフトビールって美味しくて楽しい。
同じものは2つとないから、ちょっとした宝探し的な感じでパブやブリュワリーを探すことが魅力の1つだと思う。
飲んでみても発見が多く、作り手のこだわりや情熱が愛いっぱいに注がれているのが飲む度にわかる。(と、思う。)
原料に良いものや、地元のものにこだわったりしているものが多く、個性的な味も多く好みを見つけるのも楽しい。
美味しいし楽しいんだけど、価格は高め。
我々のような節税もしていないのに所得税がクソ程低い家庭には正直厳しい。
そこは、お前らがもっと稼いで解決しろよって話なんだけど、それはそれで面倒なので中々に難しい問題だ。
ここまで書いてみるとキッチリ労働さえしていれば、毎日飲んでも良いんじゃないかと思っている人がいると思う。
我々もそう思う。大賛成。
大賛成なんだけど、飲みまくることに不安がある。
何が不安かっていうと【美味しい】の判断基準が捻じ曲がっちゃうかもしれない不安。
いつの間にか【好みの味だから美味しい】から【他よりも個性的、刺激的だから美味しい】になりつつあるんじゃないかと。
今回の旅で美味しいビールはたくさんあった。
それと同時に流行っているから激しめに味付けしてみました。っていう何となくのブリュワリーもあった。
本当に好みなら良いと思うけど、何となく違う感じがする極端じゃなきゃ美味しくないとか言っているドリンカーもいた。
どちらも、ベルジャンホワイトとIPAを飲む機会で多く目にした光景だ。
他人事だし、ましてや酒の話なんて各々好きにやってくれって話なんだけど、ふと自分はどうなんだろうと思った。
自分の好きな味を分かっているんだろうか。
ノリでムダ金使ってるんじゃないんだろうか。
ビールは音楽の趣向に近い。
本当に好きかは二の次でより激しく、珍しくを追求しがちになる気がする。
ビール図鑑のおすすめ音楽の通り、1号はパンクやスカ、ヒップホップが好きだ。
なんで好きになったかっていうと、ノリが良くて人を小馬鹿にするスタイルが自分に合っていたから。ついでに言えば明るいほうが好き。
なのにも関わらず、二十歳前後の頃は極端な音を求めていた。
パンクはよりノイズに、ヒップホップはよりアブストラクトに。
好きかどうかで問われれば良く分からない。けど、人と違う音楽を聴きたいって欲求のみでレコードを漁り、イベントに足しげく通う。
そうすると、好きな音楽を聴いて踊っていたいはずが作業になってくる。
こうなると本当にヤバくて、好みよりなんか遥か後方5万キロくらいに置いてきて、収集に拍車がかかり最終的によくわからなくなる。
友達にDischargeというバンドが大好きで、Dischargeに影響を受けた後続のバンド名がDから始まる事が多く、Dから始まるバンドのレコードを片っ端から買ってる奴がいた。
あれはマジで病気だなと思った。
そういう時は初心に帰ると良い。NOFXで踊り、ビースティで踊り、スカタライツで踊ればいいのだ。
ビールも同じでIPAでIBUが高い奴だけを片っ端から飲んではいないだろうか。
本当に大好きなら、そのまま極めて欲しいけど、作業になってる人がいたら距離を置いてみるといいと思う。
ビールの場合は初心というか、定番を飲んでみるのが良いと思う。
アイルランドではギネスやマーフィーズ、キルケニーをチェイサーにジェムソンを飲む。
イタリアではモレッティやペローニを飲んだ後にキャンティのワインなんかを飲む。
スペインではバルでサンミゲル飲んだ後ワインバーでリオハのワインをがぶ飲み。
ドイツならフランジスカーナーやポーラナーを気難しい顔でたしなむ。
タイならパッタイでも食いながら、チャン、シンハやマンゴージュースを汗かきながら飲む。
台湾なら台湾ビールや台湾茶を夜市で歩きながら飲む。
日本なら晩酌にキリンでもサッポロでも何でも好きなラガービールを。
どの土地でも昔からの定番がある。
今回の旅でもクラフトビールはかなりの量を飲んだ。それ以上に飲んだのは定番だ。
どれも最高においしい。
ここを訪れた人達がどこに住んでいるか知らないけど、もしも今夜のビール何にしようかなと迷ったら是非とも定番の1本なんていかがでしょうか。
と、久しぶりに飲んだクラシックラガーで感じた。